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2023 interview #11 事務局長 三浦 裕子

パラリンピックからオリンピックへ 夢のような可能性こそがボッチャの魅力 

ボッチャという競技の縁の下の力持ちであるのが、三浦裕子事務局長。何を隠そう、この三浦事務局長も、ボッチャという競技に出会い、その面白さと可能性に魅了されたひとりです。
誰もが同じスポーツを楽しみ、同じスポーツを通じてわかり合う。そこに壁など存在しない。年齢も、性別も、人種も国も、そして障がいも。すべての壁を越えることができるスポーツ。そんなボッチャの可能性と未来について、三浦事務局長に存分に語っていただきました。

氏名:三浦 裕子(みうら ひろこ)
株式会社プラミン代表取締役、現在は業務委託の一環として一般社団法人日本ボッチャ協会事務局長として競技普及、組織形成に務め、ボッチャの活動をさまざまな形で支援している。

――今は事務局長としてボッチャに携わる三浦さんですが、最初にボッチャと出会ったきっかけを教えてください

三浦:最初の出会いは、東京オリンピック・パラリンピックが決定する直前に仕事で行っていた、子どもたちとスポーツをつなぐ、オリンピック、パラリンピックの啓蒙活動です。様々なスポーツのサポートを行っていたのですが、そのうちひとつがボッチャでした。そして、ボッチャにはじめて触れたとき『あ、すごく可能性のあるスポーツだな』と感じたんです。
 ボッチャという競技を見たり、その選手たちと触れ合ったり、自分もボッチャを実際にやってみたりするなかで、この競技が発展していけば、障がいを持っている、持っていないだけではなくて、年齢や性別、すべての垣根を越えることができるんじゃないか、と感じましたね。人のバイアスを変えられるそんな力を持つスポーツなんだ、と。まだ競技自体が発展途上であったからこそ、これは面白くて奥深い競技だな、と思ったのです。
 そうしたなかで、2016年の年明けに、当時ボッチャ日本代表監督だった村上監督に「リオデジャネイロパラリンピックで必ずメダルを獲るから、その夢のお手伝いを一緒にやってもらえませんか」とお声がけいただきました。
今考えても、上手に口説かれたな、と思いますね。

――村上監督はまさに有言実行で、リオデジャネイロパラリンピックではチームで銀メダルを獲得しましたね。

三浦:そうですね。このリオデジャネイロパラリンピックまでに、しっかりとプラン立てて強化に取り組んでいたことを見てましたから、素直に感動しましたよね。選手たちも真摯で謙虚、とても心を動かされました。だからこそ、これからも応援していきたいと思いましたし、今後も協会で何ができるかを考え、ボッチャをサポートしていきたいと思いました。

――三浦さんが協会に携わるようになって、現在に至るまでにどのような取り組みに着手されたのでしょうか。

三浦:組織作りのポイントは、『強化』と『普及』と『組織の体制』の3つあります。その軸や方向性がないと、健全な組織というものは成り立ちません。
 組織の体制作りに関して、これはまだ課題が多く残っています。たとえば、組織の全国化。全国各都道府県にボッチャ協会が42ありますが、まだ、加盟化できていない。現在、着手していますが、これも普及や強化という意味でも、さらに推し進めないといけない取り組みのひとつです。
 強化については、東京パラリンピックまでは、村上前監督を中心に良くまとまっていました。
実際、東京パラリンピックではリオデジャネイロパラリンピックを越える、金銀銅の3つのメダルを獲得しました。
その後、井上伸新監督があとを継ぎ、昨年12月の世界選手権でも金メダルを含む3つのメダルを獲得するなど、継続して結果を残してくれています。
支えるスタッフが生活面でのサポートも含めて、とても優秀な方々が多いので、井上監督を中心に、パリパラリンピックに向かってさらに強化を進めてくれると信じています。
 普及に関しては、誰もが一緒にできるスポーツ、というのがボッチャの魅力のひとつですから、障がい者理解のキーワードに学校教育に取り入れてもらったり、イベントでは体験会などを開催して、まずはボッチャというスポーツに触れてもらう機会を増やしました。老若男女、障がいのあるなし関わらず、一緒に楽しみ、一緒に競えるスポーツですから、まずは知ってもらうこと、次に一度体験。実際やってみたら、面白さは伝わると考えました。

――普及の面で言えば『みんなでボッチャ1万人プロジェクト』を2020年8月に立ち上げましたよね。

三浦:結果的に東京パラリンピックが1年延期になりましたが、元々は東京パラリンピックの開催に合わせて準備してきたプロジェクトでした。1万人、というのは、ボッチャの会場となる有明体操競技場の観客席を埋められる数でした(有明体操競技場の収容人数は12000人)。基本的にはSNS上でファンとの交流を図ったり、キャラバンなどで体験してファンや競技者を増やす、という両輪で取り組んでいます。
 また、ホームページで選手の紹介もしていくことで、ボッチャという競技のファンを増やすことはもちろん、選手に対するファンも増やしていきたい。そうすれば、自然と裾野が広がっていき、プレイヤーが増えれば競争力が上がり、結果的に強化につながっていくはずだと思ってます。
 プロジェクトがスタートしてから2年が経ちまして、Instagramは約3000人、Twitterは約5500人まで増えました。目標にはまだ届いていませんが、土台作りという意味でも、これからも積極的に取り組んでいきたいと考えています。

——少しずつ改革が進む日本ボッチャ協会ですが、三浦事務局長が描くボッチャの未来を教えていただけますか。

三浦:日本ボッチャ協会が作成した中長期計画のなかで掲げているのは、ボッチャを国民的スポーツにする、ということと、継続的なメダルの獲得です。そして、もっと大きな目標をお話すると、パラリンピック競技からオリンピック競技になる種目があっても良いんじゃないか、と思っているんです。そんな夢のような可能性を秘めたスポーツが、ボッチャだと思うのです。オリンピック競技が、パラリンピックの競技になることはあっても、その逆はありません。ですが、最初にお話しましたが、ボッチャは障がいのあるなし関係なく同じフィールドで戦える競技です。それこそ、年齢、人種、性別など、様々な壁を乗り越えることができるスポーツなのです。

——パラリンピック競技であるボッチャがオリンピック競技になる、ということを考えただけで本当にワクワクしてきます。

三浦:毎年、障がいのある人たちと障がいのない人たちや様々な人たちが同じ舞台で戦う、インクルーシブな大会東京カップを開催しています。すでに、その会場では多様性を体感できる場が出来上がっていますので、次回2023年3月(11日、12日)の大会には、是非観に来てもらいたいですし、今後もっと多くの方々に参戦もしてほしいですね。

—最後になりますが、ボッチャファンの皆さんに三浦事務局長からメッセージをお願いします。

三浦:東京パラリンピックと、このボッチャ1万人プロジェクトをきっかけに、ボッチャという競技を知っていただけた方も多いと思います。知った次は、投げてみてほしいですね。まずは、やってみる。そうすると、何かに気づき、さらにボッチャの魅力を感じていただけるはずです。ぜひ皆さん、一緒にボッチャを楽しんで、一緒に盛り上げていきましょう。そして、みんなで、より良い未来を作っていきましょう!

――ありがとうございました。

text/interview 田坂友暁 /direction 新井大基 小倉大地雄
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