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interview #05 古満渉

元々球技が大好きで、高校時代は卓球をやっていたという古満渉選手。その後難病であることが分かり、車いすの生活となったとき、ボッチャに出会いました。パワーがないからこそ、一手先を読むその洞察力を武器に世界と渡り合ってきた古満選手。チーム一丸となって臨む東京パラリンピックへの思いを語ってもらいました。

氏名:       古満 渉(ふるみつ わたる)
クラス:    BC4
生年月日:  1985年8月20日
出身地:    広島県
所属:       広島市役所
主な成績:
・BISFed 2018 世界ボッチャ選手権大会 リバプール大会出場
・日本選手権 2017 1位
・日本選手権 2019 2 位
・BISFed2019 アジア・オセアニアチャンピオンシップ韓国大会出場

――古満選手のボッチャとの出会い、そして始めたきっかけを教えてください。

古満選手:私がボッチャを始めたきっかけは、もともと学生の頃はまだ歩行ができていたということもあって、卓球をやっていました。それが20歳を超えたくらいから徐々に歩くのが難しくなったきて、それから車いすに乗るようになりました。電動車椅子に乗ったままできるスポーツを探して、それでボッチャに出会ったのがきっかけです。最初は地元のクラブチームの練習を見学させてもらって、そこでこれなら自分にもできるかなと思って始めました。

――数多く存在するパラスポーツのなかで、ボッチャを選んだ理由を教えてください。

古満選手:ひとつは電動車椅子に乗ったままで競技ができるということ。あとは、疾患的に筋力が弱いんですけども、そのなかでもボッチャボールであれば握って投げることができたということが、ボッチャを選んだ理由ですね。やってみて感じたのは、パワーはなくても、コントロールだったり戦術だったり、そういった要素でも戦っていけるということ。それはまさにボッチャの魅力ですね。

――古満選手の普段の練習環境や練習内容について教えてください。

古満選手:練習環境としては、地元のクラブチームと一緒に、地元の障害者福祉センターや地域の公民館などで練習をしています。基本的なボールを使った基礎練習の日もあれば、試合を想定したゲーム練習の日もあります。あとはコーチや理学療法士さんがついてくれているので、ボールを使ったトレーニングだけではなくて、身体のコンディションを整える練習を行うこともあります。

――普段から厳しいトレーニングを積まれていますが、古満選手の気分転換の方法や、ボッチャ以外で好きなことなどはありますか。

古満選手:ボッチャ以外では、休日ならほかのスポーツを観戦することもあります。結構スポーツ全般をよく見ていて、野球やテニス、ゴルフとか、そういうテレビで中継しているようなスポーツを何でも幅広く見ています。

――ボッチャには個人戦、団体戦があります。BC4クラスとして古満選手が目指す理想のチーム像はありますか。

古満選手:BC4クラスはまだまだ世界ランキングは低いんですけど、やっぱり我々には我々の戦い方でしかやっぱり世界と戦えないと思っています。単にパワーでの真っ向勝負とかそういう戦い方ではなくて、正確なボールのコントロールだったり、緻密な戦略戦術というところを大切にしながら世界を相手に戦っていきたいと思っています。

――古満選手ご自身のストロングポイントは、どういったところにありますか。

古満選手:ストロングポイントと言っても良いかは分からないですけど、全体の展開を考えられるというのは、自分のひとつの武器になると思っています。ひとつのプレーにも、複数の選択肢があるわけです。そのなかから、何が最善なのかを状況を見て判断したり、今はどういうところにボールを配置すれば相手が嫌がるのかを考えたり。まだまだ細かく考えていかないといけないとは思うんですけど、多くの戦略を組み立てられるところは私のストロングポイントかなと思っています。

――前回のリオデジャネイロパラリンピックではメダルを獲得しました。それによってボッチャの認知度が高まったと思いますが、そのなかで開催される東京パラリンピックに期待することはありますか。

古満選手:東京パラリンピックに期待することのひとつとしては、ボッチャだけではなく、パラスポーツはやはりまだマイナーな競技の域を出ないと言うか。以前に比べると、だいぶ広まっているとは思うんですが、それでもやっぱりまだそれほど知られてないのかな、と感じるところは、正直にあります。現状、体験会も多く開かれていて、ボッチャに接する人も増えていると思いますが、それ以外の場所や場面でボッチャが行われているかというと、そうではないですよね。それはボッチャだけに限らないと思いますが、パラリンピックという機会で、何かパラスポーツにひとつでもふたつでも興味を持っていただけたらうれしいなと思います。それに、そうなるためにも、パラリンピックがテレビなどで放映されて、多くの人たちに私たちの活躍を含めて、パラスポーツ選手たちの活躍を多くの人たちが見て、パラスポーツに接するきっかけになってくれたら良いですね。

――東京パラリンピックでボッチャを見てくれる方々に、古満選手ご自身のここに注目してほしい、というところはありますか。

古満選手:私が投げる1球、というよりも、試合全体の展開を見ていただけたらうれしいです。たとえば『なぜあのときにあそこにボールを配置したのか』とか、そのプレーが最終的にどういう点に結びつくのか、というところですね。ぜひ、そういった戦略にも着目しながら観戦していただけるとうれしいです。

――現在、ボッチャ代表チームの強化テーマに『一丸』があると思います。古満選手にとって『一丸』は、どういったイメージがありますか。

古満選手:色々ありすぎて難しいですね……。ひとつは、やはり自分のクラスの中だけでコミュニケーションを取るのではなくて、ほかのクラスとかコーチ、スタッフを含めた皆でひとつのチームとして取り組むこと。それと、みんなで東京パラリンピックでメダルを獲る、という同じ目標に向かうというのも、ひとつの『一丸』だと思います。もちろん、火の玉ジャパンのなかだけの話ではなくて、それぞれの選手の地元や地域で、それぞれ支えてくれている人たちも沢山います。そういう人たちも含めて、全員が同じ方向を向いて進んで行くことが、火の玉ジャパンの『一丸』というふうに私は捉えています。

――最後にボッチャファンに向けて一言メッセージをお願いします。

古満選手:今回我々が、このパラリンピックの代表として出場させていただくということで、やはりボッチャファンの皆さんの思いも込めて一緒に、皆と一緒に戦っていきたいと思っています。みんなで一丸となって頑張りましょう。

――ありがとうございました。

constitution 田坂友暁 / photo 松川智一 / interview 阿部倫太朗
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